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2010年7月 9日 (金)

柏原の視線

乙女座が最下位なのは毎度のことでそう気にも留めていなかったが、あながちはずれでもなさそうだ。よりによって柏原を誘うとは予想だにしていなかったからだ。せめて昼だけでも楽しいひとときを過ごしたかったのに。

「あら、浜崎さん、浮かない顔してるけど他の人誘っちゃいけなかったかしら」

香奈枝は屈託の無い笑顔を向けながら私にそういうと、コンピュータに向かって自分の作業に取り掛かった。

まったく彼女の笑顔には参りっぱなしだ。これですべてがチャラになってしまう。彼女はその持ち前の明るさで今までどれだけの難をしのいできたのだろうか。いや、もしかしたら多くの人を救ってきたのかもしれない。あのとびきりの笑顔にはそう思わせる何かが秘められている気がしてならない。

しばらくの間、香奈枝のことを考えながらメールのチェックをしていると、新着メッセージが届いた。柏原からのメールだった。

「今晩のことは課長と木村さんにはご内密に」

と書かれてあった。

ますます今晩の約束がうっとうしくなってきた。いったい何なのだろう。だんだん苛立ち始めてくる自分に気がつく。

(いかん、いかん、冷静になろう)

柏原のほうへ視線を向けると、彼も私を見ていた。何か信号を送られている気がして薄気味悪かった。

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